上海通信5 上海味めぐり(2)
白蘭花
C滴水洞湘菜館 湖南料理の店です。茂名南路の商店街の2階にあります。すぐ近くには錦江飯店や花園飯店(ホテル・オークラ)があります。狭い古い磨り減ったコンクリートの階段を見た時は、思わず退いてしまいましたが、日本人ビジネスマンらしき2人が、すり抜けて上って行くのにつられて入りました。ほぼ満席の店内はカジュアルな食堂といった雰囲気です。湖南省出身だった毛沢東の生家近くにある渓谷、滴水洞を店の名に冠しています。メニューにも毛沢東が好きだった紅焼肉を“毛公紅焼肉”と名付けています。豚の角煮ですが唐辛子と丸のままのにんにくが、たっぷり入っているので風味豊かでピリッとしています。毛沢東の食べ方と同じように、ご飯にのせて食べました。その外“梓元排骨”(湖南風スペアリブ)、“麻辣香干”(湖南風硬豆腐の和え物)、“蒜苗炒〓(月へんに昔)肉”(湖南風干し肉とにんにくの芽の炒め物)等を食べました。どれも美味しいですが、トウバンジャンや山椒等の辛味と痺れの混じった複雑な四川の味と違って、湖南は唐辛子の辛さを強く感じます。 味<★★> 雰囲気<★> サービス<★> 価格<ふつう>
D老壇 幸福路にある貴州料理の店です。わが家から歩いて15分程の番禺路にあるクラウンプラザホテルのすぐ近くです。庶民的な店です。十年程前になるでしょうか、貴州出身の友人が「故郷の貴州では、どくだみの根を食べます。」と言っていました。ありました。見付けました。“涼拌折耳根”です。もやし程の太さの白いどくだみの根と香菜と唐辛子を和えた物です。まさしく、どくだみの味と香りです。唐辛子は細かく刻んであるので避けようがありません。辛いです。さて今日の食卓のメインは“干鍋鶏鍋仔”です。ステンレスの小ぶりの鍋には細切りの大根が敷かれ、その上に骨付きの鶏の唐揚げがたっぷりとのっています。香菜も散らしてあります。ネギ、にんにく、山椒、唐辛子等が入った少量の汁だれで焦付かないように弱火で煮ます。これも美味しいけれども辛いです。そして“蕨菜炒〓(月へんに昔)肉”(蕨と干し肉の炒め物)。干し肉は湖南料理にもありましたが甘味があり美味しいです。見た目は万能ネギのような、にんにくの苔(日本では見た事がありません)も入っていました。主食は“干〓(火へんに扁)土豆〓(米へんに巴)”です。おろしたじゃが芋をつなぎにして細切りのじゃが芋を、お好み焼きのように両面焼いた物です。塩味だけですが、とても美味しいです。お茶は初めて飲む“苦丁茶”です。その名から苦いと思っていましたが甘いお茶でした。 味<★★> 雰囲気<★> サービス<★> 価格<安い>
E功徳林 一九二二年の創業です。南京西路にあります。レンガとガラス張り窓の組合せがお洒落な建物です。全面に中国風彫刻を施した観音開きの木の扉を押して店内に入っても期待を裏切られません。天井やブラインド、床、階段、そして黒檀風のテーブルとマホガニー風の椅子と、ふんだんに木を取り入れています。石の床や白い壁、グレーの柱とよくマッチしていて清潔な印象を与えています。料理も見事です。“掛炉〓(火へんに考)鴨”は湯葉を巻いた物をスライスしたダックに見立てています。お醤油で味付けしていますが不思議です、ダックの味です。“清炒蟹粉”は蟹の形をした器に盛られています。おからをベースに人参、竹の子、椎茸等で作られています。見た目も蟹味噌と蟹肉のようです。思わず唸ってしまいます。まさしく蟹の味です。“蘭花鮑片”は、ぷりぷりした蒲鉾(材料は何でしょうか・・・?)のような物を、スライスした鮑に見立てています。上にタレがかけられ回りに茹でたブロッコリーが配されています。タレと一緒に食べると、まったく鮑の味です。“糖醋排条”(酢豚)は、拍子木切りした山芋に衣をつけて揚げた物を肉に見立てています。感心しました。本当に穀物と野菜だけで作り出している事が信じられない料理でした。 味<★★★> 雰囲気<★★★> サービス<★★★> 価格<ふつう>
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