上海通信3 “秋老虎”が去り“金秋へ
白蘭花
まだまだ“秋老虎”(残暑)が厳しい九月十一日は中秋節でした。上海の友人Y氏宅に呼ばれました。中国では中秋節には月餅を食べる風習があります。お土産にしようと思い南京路の第一食品商店に寄りました。三年前、この商店の入口に直径2mはあろうかと思われる巨大月餅が置いてありました。勿論食べられる物です。どうやって作ったのでしょうか・・・。今年もあるのではと期待して行きましたが、残念ながらありませんでした。その代わり様々なメーカーの月餅が所狭しと並んでいました。老舗の物、日本式(?)の物、アイスクリームの物等です。中でもチョコレートの月餅は初めて見ました。これは新物好きの上海の友人にはウケルに違いありません。(案の定、とても喜ばれました。) 南京路からY氏宅までタクシーで行きます。ところがタクシーが捕まりません。上海のタクシー台数約5万台は世界の街の中で一、二位を争うと聞きました。確かに数多くのタクシーが街を走っていますが、空車がなかなか見付かりません。退勤時間の五時位から捕まえるのが困難になります。金、土にいたっては殊の外、大変です。一時間近く待つ事さえあります。結局この日も一時間かかって、ようやく乗る事ができました。上海にはタクシー会社も数多くあります。一番安心して乗れるのは、5万台の内の約1/3を有するエメラルドブルーの車の「大衆」です。社員教育がきちんとしているので、応対が丁寧で、車内も綺麗です。次にゴールドの「強生」が続き、オフホワイトの「錦江」とライトグリーンの「巴士」がいい勝負といったところでしょうか。基本料金は3km10元(1元≒15円で150円)で、0.5km毎に1元プラスされていきます。 Y氏宅でお手製の三黄鶏(上海の地鶏の蒸し物)や寧波(浙江省の港町)のダック等のご馳走を戴きました。Y氏宅は昨年、23万元で購入した中古アパートです。70uで2LDK、1階なので40uの庭もあります。今、上海は投資目的、通勤に便利、立ち退き等の理由から住宅ブームで、価格が高騰しているそうです。Y氏宅もこの一年で、早くも42万元に値上りしているそうです。会社勤めを辞め、友人と貿易会社を始めたY氏の目下の関心事は“マイカー”です。今、上海の街は何処へ行っても車が溢れています。車の価格は5万元位の安い物もありますが、ちょっと良い物は10万元以上です。大卒の初任給が日本の1/6位なので、まだまだ贅沢な物です。更に上海は北京と違って街が小さいので、車の普及を抑えるためにナンバープレート取得(車輌登録)の値段を高くしているようです。なんと1.5〜2万元です。縁起が良いと好まれている「8」の数字が続いたナンバーは数10万元にもなるそうです。 食後はY氏夫妻の案内で上海の夜景を見に行きました。人知れぬ穴場だそうなのでガーデンブリッジ近くの高層ビルとだけ書いておきます。黄浦江を挟んで左に高さ468mの東方明珠タワーと88階建ての金茂大廈等が林立する、大発展を続ける新上海の浦東、そして右に老上海の雰囲気がそのままの外灘と、上海を代表する二大夜景が真直に見えます。電飾された遊覧船も浮んでいます。遠くに吊り橋の南浦大橋も見えます。この橋は浦東と浦西を結ぶ最初の橋で、一九九二年にできました。楊浦大橋、奉浦大橋、徐浦大橋と続き、今年七月には盧浦大橋が開通しました。本当に素晴らしい夜景でした。
上海に来て間も無い頃、日本からの友人と江蘇省の片田舎で仕事に頑張っている友人とで、やはり夜景が見える提籃橋にある遠洋賓館へ行きました。27階にある展望レストランです。二時間かけて1周します。丁度、食事を頼んで食べ終わる時間です。東方明珠タワー側は華やかな夜景で綺麗でしたが、反対側に周ると何もなく寂しい夜景でした。料理は淡薄で、なかなかの味でした。ちょっと驚いた事は頼んだ料理すべてにスープがかかっていた事です。ここの特色なのでしょうか・・・。特色といえば“穴場”の方では紅茶を飲みましたが、上海の水特有のかび臭さがありました。友人が馴染みの服務員にその旨伝えると、「料理と飲物が不味いのがここの特色です」と負けじとジョークで返していました。 さて、九月の半ばを過ぎると、上海の街はあちらこちらで、国慶節を迎える為の飾り付けが始まりました。徐々に朝夕も涼しくなり始めました。九月の終り頃になると、吹く風も爽やかになり、道行く人も長袖の人が増え始めました。街角には焼き栗売りや焼き芋売りが出始め、いよいよ“金秋”の到来を感じさせます。そして十月一日、国慶節(中国の建国記念日)です。今年は54回目です。全国一斉に一日から七日まで休暇でした。一週間の休暇の振替として国慶節前の土、日は出勤しなければなりません。上海の街は三十日、一日、二日の三日間、午後六時半から十一時の間、街の中心部は綺麗に飾られた電飾を楽しめるように歩行者天国になりました。中心部から車を全て排除する為に午後四時半から交通規制が始まりました。 三十日、交通規制が始まる頃、城隍廟(豫園)へ出掛けてみました。タクシーは捕まらないので、バスで西蔵路まで行き、そこから歩いて城隍廟へ。“小籠包”で有名な「南翔饅頭店」に入りました。1階の窓口販売には、やはり長蛇の列ができていました。2階も満席です。目指すは3階です。1階、2階、3階と値段も違いますが、“小籠包”の具の蟹の量も、味も違います。上に上るにつれ、高くなり美味しくなります。豫園商場をぶらぶらと一回りしましたが、いつも程の人込みではありませんでした。帰りは、街の中心部を真直ぐ西へ突っ切れば早いのですが、全く車は入れないので迂回して帰りました。
一日、やはり交通規制の中、南京路へ。運良くタクシーに乗れましたが、静安寺までです。そこからバスに乗りましたが、2停留所先の上海電視台(上海テレビ局)止まりでした。ここからは人の流れに沿って歩いて南京路へ向いました。だんだん流れが太くなり、南京路に到っては大河と化しました。久し振りに会う日本からの友人との楽しい会食を終え帰宅の途に。お祭騒ぎの若者達も大勢、帰宅を急いでいました。乗車拒否をされる若者グループを尻目に、幸運にも思いのほか早くタクシーに乗れました。 二日、タクシーで上海の友人Z氏宅へ。中心街を通ると早いのですが、やはり規制されているので、大きく迂回して行きました。Z氏宅は二年前60万元で購入したメゾネット式の新築マンションです。128uの広さの3LDKで、見晴しのいい22階です。温州(浙江省)からマイカーでやって来た一家を交えての愉快な夕食でした。帰りは夜の11時にはまだ時間がありましたが、既に交通規制は解除されていたので、外灘を通って華やかな夜景を楽しむ事ができました。\(~o~)/ ★ 上海通信トップへ ★ トップページへ |